カバービジュアル:星加曜


tampen.jp主催トークイベント「トーキング・ヘッズ・オン・アニメーション hosted by tampen.jp 第2回「ロトスコープの地平」」が、7月29日(土)渋谷区・松濤のディジティ・ミニミにて開催。

ライブ撮影された実写映像をなぞることでアニメーションを制作する手法「ロトスコープ」。独自のロトスコープ理論を展開するアニメーション作家・美術家の岩崎宏俊と、日本テレビアニメとしては異例の全編ロトスコープによって制作された『惡の華』において助監督をつとめたアニメーション演出家の平川哲生が、ロトスコープが拓くアニメーション表現の可能性について語り尽くす。

なお、イベント参加チケット購入者は、専用のDiscordサーバーに招待される

イベントの詳細は以下。


【概要】
ライブ撮影された実写映像をなぞることでアニメーションを制作する手法「ロトスコープ」。最近では、村上春樹による原作小説を映像化した長編アニメーション映画『めくらやなぎと眠る女』(原題:Saules Aveugles, Femme Endormie)が全編ロトスコープによって制作され、話題となりました。
本イベントでは、独自のロトスコープ理論を展開するアニメーション作家・美術家の岩崎宏俊氏と、日本テレビアニメとしては異例の全編ロトスコープによって制作された『惡の華』において助監督をつとめたアニメーション演出家の平川哲生氏のおふたりをゲストにお呼びして、ロトスコープによるアニメーション表現の可能性をひもときます。

【「トーキング・ヘッズ・オン・アニメーション」とは?】

「わたしの——87分間におよぶ狂乱のトーキング・ヘッド」
——映画『スイミング・トゥー・カンボジア』(1987年)より、スポルディング・グレイの独白

アニメーションは現在、テレビショー・映画・広告・美術・ビデオゲームなど、さまざまな領域にまたがり、足場となる技術を一定ていど共有しつつも、各領域ごとに異なる美意識や歴史を形成しています。そのいっぽうで——あるいは、そうであるがゆえに——アニメーションにまつわる「語り」は、それぞれの領域にとどまらざるをえず、断片化しているといえるでしょう。
アニメーションについて専門領域や立場に囚われないで対話し、コンフォートゾーンの外へ冒険に出ることを恐れない。そんなひとたちのための、小さくとも、オープンでフレンドリーな場をつくりたい。大げさに聞こえるかもしれませんが、それこそが「トーキング・ヘッズ・オン・アニメーションhosted by tampen.jp」(以下、THoA)の出発点だったようにおもいます。

THoAは、月イチていどの開催をめざしています。毎回ゲストを招いて、さまざまな角度からアニメーションについて語ります。
また、イベント参加者専用のDiscordサーバーを設置して、事前に質問や話題を募集したり、イベント中にリアルタイムでチャットを書きこんでもらうことで、壇上とフロアが積極的に対話しながらトークを展開していきたいと考えています。
それだけではなく、イベント終了後もDiscordサーバー上で意見交換や雑談をおこなえるように、交流用のチャンネルもいくつか用意しています。
実地とサイバースペースを往復しながら、アニメーションについて語るためのことばを磨きあげていく。それこそが、THoAの目的です。
このように書くと、かた苦しいイベントを想像するかたもいるかもしれませんが、心配はいりません。フロアとの対話を重視するということは、臨機応変に話題を転がすための「ゆるさ」も大切だからです。
ですから、THoAは「アニメーションについて、ゆるく、だけど真剣に語る」イベントだと考えてほしいです。
はたしてTHoAが成功するのか、正直、現時点ではまったく未知数です。だけど、まちがいなく刺激的な場になる——そんな予感がしています。

せっかくなので最後に、イベントタイトルのゆらいについても、かんたんに説明させてください。
「トーキング・ヘッド talking head」は、1970年代には、セリフに依存しきった映像作品を揶揄することばとして使われていたそうです。
そうした「トーキング・ヘッド」をイベントタイトルにあえて冠するのは、ほんらいことばでは語り尽くせないアニメーションを、それでもなお、ことばを尽くして語ろうとする本イベントのアイデアをアイロニカルにいいあらわす、ぴったりなことばだとおもったからです。

——田中大裕(「tampen.jp」編集長)

【詳細】
▼日程
2023年7月29日(土)開場15:30開始16:00終了18:00(予定)
▼会場
ディジティ・ミニミ(〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-11-11 松涛伊藤ビル 2F)
▼出演
岩崎宏俊
平川哲生
▼モデレーター
田中大裕
▼料金
2,000円(税込)
▼主催
tampen.jp
▼協力
ディジティ・ミニミ

【出演者/モデレータープロフィール】
岩崎宏俊(いわさき・ひろとし)
1981年茨城県生まれ。2019年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現領域博士後期過程を修了。博士(美術)。ロトスコープという既成の実写映像をベースにアニメーションを制作する方法に着目し、シュルレアリスムなどの20世紀の前衛芸術運動と比較し体系化した独自のロトスコープ論を確立。ロトスコープによる混淆する運動やその非完結性の探求を続けている。作品は映画や美術を越境的に展開する他、コミッションワークとしてCalvin Kleinのキャンペーンイメージや、THE NEW YORK TIMES OPINIONに掲載されたエッセイをイメージしたアニメーションを制作し、本紙の一面に掲載されるなど多岐にわたる。2015年オランダ国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞。
ポートフォリオサイト:https://hirotoshiiwasaki.com

平川哲生(ひらかわ・てつお)
1979年、千葉生まれ。アニメーション演出家・脚本家。主な監督作品は『ブッチギレ!』『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』『けだまのゴンじろー』『ゼロから始める魔法の書』『VRアニメ「進撃の巨人」Season 2 リヴァイ編/エレン&ミカサ編』など。初監督の長編アニメ『川の光』がアメリカ国際フィルム・ビデオ祭など国内外の映像祭で受賞。OVAやWEBなど媒体を問わず、また実写やVR・3Dなど手法を問わず演出する。
Twitter:https://twitter.com/bokuen

田中大裕(たなか・だいすけ)
アニメーション史研究者。「tampen.jp」編集長。「新千歳空港国際アニメーション映画祭」プログラムコーディネーター、コンペティション短編・長編部門選考委員。長編アニメーション『鶏の墳丘』(原題:Chicken Of The Mound)配給。そのほか、インディペンデントアニメーションの上映、イベント企画・運営、執筆など。
Twitter:https://twitter.com/diecoo1025

そのほか詳細およびチケット販売:https://tampen-thoa002.peatix.com/