2015年2月5日から15日にかけてドイツの首都ベルリンで開催される第65回ベルリン国際映画祭の短編部門に、水尻自子監督『幕』がノミネートされました。
水尻さんは前作『かまくら』が昨年の同映画祭でもノミネートを果たしており、2年連続という快挙です。昨年映画祭を訪問した際、tampen.jpに映画祭参加体験レポートを寄稿してくださった水尻さん、文中で語っていた"『かまくら』よりも断然おもしろくなりそうな新作"が、まさに今回のノミネート作品『幕』です。素晴らしい有言実行力!
今回はベルリン出発前の水尻さんに、お話を伺いました。
写真: 水尻自子監督
―― ノミネートおめでとうございます!
水尻: ありがとうございます!
―― 2年連続素晴らしいですね!報告を受けた感想は?
水尻: びっくりした反面、実は前回「『かまくら』で入るなら次も絶対入るだろう」と思ったので、予想していた部分もありました。嬉しいです。
―― 今回も映画祭に参加されるそうですが、何か準備はされていますか?
水尻: 監督インタビューで内容について聞かれると思いますが、"意味やメッセージ性のないことが大切なのだ"ときちんと伝えられるようにしたいです。
『幕』(2014)
Direction & Animation:Yoriko Mizushiri
Music:Shuta Hasunuma
狂言の舞台/眼科の診察室/寿司屋のカウンター
それぞれの空間で向かい合う二人が居る。二人の間には、守らなければいけない少しの距離がある。
その距離の間には、なんだかこわいような、心地いいような、ふんわりと柔らかくて、もっと欲しくなる感触が漂う。欲した感覚はあっという間に動き出し、弄っていく。
それらを混ざり合わせて、何だか繋げてみる。それが何だということもない。「感触」はただ感じるだけの、身体と感覚を持つ者の、健全で平凡な最高の悦び。
どこかで感じた感触をせっせと拾い上げ、アニメーションという手法でもう一度産み出し、じっくりと確かめる。
―― 「狂言」という日本的要素が含まれていますが、世界中から集まったオーディエンスにはどのように観られると思いますか?
水尻: 日本でも観る人が解るわけではないと思うし、アニメーションの内容としては解らなくても成立するように作っています。感覚と連鎖というテーマなので、動きなどの感覚で観ていただければ繋がるはず。でも作っていると判らないので、感想は聞いてみたいです。
―― 制作ペースがはやい水尻さん、新作の予定は?
水尻: 今年作りたいです。
―― 『布団』『かまくら』『幕』3部作ということですがこのシリーズは終了ですか?
水尻: 全然違う感じにはならないと思いますが、一応終了かな?でも何か変えたいです。
―― ところで、最近どうですか?
水尻: 今は真面目な仕事をしています。作品とは関係のない、商業制作です。みんなギリギリになってから私を呼ぶ。ギリギリ好きだからそれでいいです。
―― tampen.jp読者のみなさんに一言お願いします。
水尻: 今年もよろしくお願いしま~す。
水尻自子さん、どうもありがとうございました!毎年作り続けることすら難しいアニメーション映画の2年連続ノミネート、本当におめでとうございます。
なお、『幕』が完成した際の記事でUPした動画インタビューで、本作品についての詳細や水尻さんの作品制作に対する考え方などがご本人の口から語られていますので、こちらも是非ご覧ください!
水尻自子
http://imoredy.tumblr.com/
第65回ベルリン国際映画祭
65th Berlin International Film Festival
https://www.berlinale.de/en/HomePage.html