PISAF2014(Puchon International Student Animation Festival、韓国・プチョン国際学生アニメーション映画祭)で、朱彦潼監督の東京藝術大学映像研究科アニメーション専攻修了制作『コップの中の子牛』が、グランプリ(PISAF Grand Prize)を受賞しました。
本作品は先日開催された第21回クロク国際アニメーション映画祭でもグランプリを受賞したばかり。目覚しい活躍です!
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朱彦潼監督『コップの中の子牛』
ところで、本作品が第26回東京学生映画祭アニメーション部門グランプリを受賞したことから、朱彦潼監督は10月25日、東京国際映画祭にて新設された「“SAMURAI”(サムライ)賞」の第一回受賞者である北野武監督SAMURAI賞受賞記念トークイベントに参加しました。朱さんは北野さんへ「元々中国から来たが、私の様に日本で教育を受けて日本で制作を続けて行きたいという人はこれから増えると思う、外国籍の監督が撮った映画も日本の作品と言えるか、もしそうなら、これから外国籍の人の日本映画制作が増えると思うが、どのようになるか?」という質問を投げかけました。それに対し、北野さんは日本映画の米・アカデミー賞外国映画部門への推薦方法を例に挙げ、「みなさんはこれからの人だけれども、大手の映画会社に巻き込まれないように」というアドバイスを送っていました。
今回、朱彦潼監督は『コップの中の子牛』を、日本・中国の共同製作映画として、PISAF2014に出品・受賞しています。島国である日本ではこれまで海外との共同製作実績も少なく、また、日本人監督が海外で製作する、海外の監督が日本で製作する、という例が海外に比べてとても少ないです。基本的には、「制作のための資金を出した国」が、その映画の製作国となりますので、もちろん、日本の大学施設も利用した朱彦潼監督の作品の製作国は日本でもあり、日本の作品でもあるということになります。
最近では、第62回ベルリン国際映画祭短編部門銀熊賞を受賞した和田淳監督の『グレートラビット』がフランス製作となっていますが、それはフランスのプロダクションSacrebleu Productionsと、フランスの配給会社CaRTe bLaNCheによって制作資金が支払われているためです。また、水江未来監督『WONDER』も、日本の制作スタジオCALFとCaRTe bLaNCheによる、日仏共同製作作品です。
海外では当たり前のことなのですが、日本でも今後こういった事例が増えていくのではないでしょうか。朱さんには、胸を張って「日本の映画」と言っていただきたいですね。
ちなみに、北野監督が言及していた米アカデミー賞ですが、日本の映画祭ではなんと、ショートショートフィルムフェスティバルと広島国際アニメーションフェスティバルのみが公認映画祭となっています。どちらも、短編アニメーション映画を出品することのできる映画祭です。長編実写映画が該当する映画祭が無いのは驚きですよね。どの映画分野も、それぞれの問題を抱えている様です。
PISAF2014では、その他にも特別賞(スポンサー賞)の「NAVER Netizen choice 1」を中舎康平監督の多摩美術大学卒業制作『想い雲』が受賞しています。
PISAF2014
http://www.pisaf.or.kr/2014/en/index.php
朱彦潼
https://vimeo.com/user12400465
東京国際映画祭
http://2014.tiff-jp.net/ja/