tampen.jpでも過去に何度も取り上げている「ANIME SAKKA ZAKKA」。アニメーション作家が、アニメーション以外の表現を同時に持ち込むことで、より多角的な展示を展開し、同時に作家が上映以外の収益も得ることを目標とした企画展です。そして来場者にとっては、大好きな、あるいは初めて出会うアニメーション作家たちの作品・作家と密にコミュニケーションを図ることが出来、そして同時に魅力的なグッズを手に入れることが出来る、非常に楽しいイベントでもあります。

2013年5月の「1」を皮切りに、同年10月には「2」が開かれたANIME SAKKA ZAKKA。発起人である中内友紀恵さん、若井麻奈美さんを除き、出展作家を全員入れ替えながら開催されてきました。そして2014年には、新たにいよりさきさんを中核メンバーに加え、より精力的な活動が行われました。今回は、そんな「ASZ」の密度の濃い1年間を振り返りながら、2014年10月18日・19日に行われた「3」のロング・レポートをお届けいたします!


まず取り上げなければならないのは、「ANIME SAKKA ZAKKA COMPETITION」の開催です。これは過去、運営からのオファーのみで組まれていたANIME SAKKA ZAKKAの参加メンバーを史上初めて一般公募するという試みでした。自身のアニメーション作品と、別にもう一作品(技法は自由)を同時に応募し審査されます。審査員は、新潮文庫の『Yonda?』で知られる人気イラストレーター、100%ORANGE及川賢治さんが担当。今回は多数の応募の中から、谷口ちなみさんがグランプリに決定。「3」当日も作品が上映され、手作りブローチが来場者の人気を集めていました。

もうひとつが、「SAKKA ZAKKA WORKS」の企画です。これは若手イラストレーター、松尾モノさんと、運営の中内友紀恵さん、若井麻奈美さん、いよりさきさんがコラボレーションし、松尾モノさんの作品世界を存分に生かした新作アニメーションを制作するというもの。「ANIME SAKKA ZAKKA」として新作アニメーションが制作されるのは、これが初の試みとなりました。作品は、メンバー全員が興味を抱いていた「アイドル」をテーマとした内容に決定。実在のアイドルである寺嶋由芙さん(元 BiS)を迎え、寺嶋由芙さんのファースト・シングル「#ゆーふらいと」からインスパイアされたミュージックビデオが、「3」当日の会場で上映されました。

また2014年10月の「3」に向け、非常に数多くの関連イベントが企画されました。まずは、過去「1」「2」出展作家が集結、3グループに分かれて週替わりで上映・展示・販売が行われた「ANIME SAKKA ZAKKA RETURN」が6月に開催。また8月には、4人のアニメーション作家が4人の魅力的なイラストレーターを指名、コラボレート・アニメーションを制作し展示する「アニメーション loves イラストレーション」を含むグループ展「ANIME SAKKA × ILLUSTRATION」が開催……。

さらに8月の終わりには、「としまアート夏まつり2014」内プログラム「夜空の校庭上映会」に、ANIME SAKKA ZAKKAがプログラム参加。6人の作家によるグッズも同時販売されました。そして9月頭には、何とANIME SAKKA ZAKKAが海外にまで進出! スイスのバーデンで行われた「第12回ファントーシュ国際アニメーション映画祭」内で、作家8名によるグッズ販売ブースが設けられました。


そしていよいよ、満を持して行われた「ANIME SAKKA ZAKKA 3」。これまでの「1」「2」は、約10日間の日程で行われていましたが、今回は10月18日・19日の2日間開催に。より濃厚な、凝縮された会期となりました。

会場はおなじみ、過去にもここで「1」「2」が行われた3331 Arts Chiyoda。前回よりも広い地下スペースで、ゆったりとした会場配置となりました。

まず初日のオープン前となる18日午前10時30分から、完全予約制のプレミアム・イベント「ANIME SAKKA ZAKKA PREMIUM」が開催。一般公開前の会場でゆっくりグッズを購入したり、「3」のシンボル・マークとなった恐竜と男の子のカップ・ケーキを頂くことが出来たりしました。

「PREMIUM」のトークショーでは、西日本のゴキゲンなアニメーション・チームpecorapedさんと、(この記事の筆者であります)沼田友が登壇。また休憩後には、「COMPETITION」で大賞を射止めた谷口ちなみさんの作品上映とインタビュー。そして「WORKS」の完成作品が初公開され、松尾モノさん・中内友紀恵さんが登壇しインタビューに応じました。いずれも、大桃洋祐さんの軽快な司会と共に終始楽しく進行し、あっという間に「プレミアム」な時間は閉幕。トークショー終了直前には、既に開場を待つ人が外で大勢待機! 13時、いよいよ「ANIME SAKKA ZAKKA 3」は一般公開を迎えました。

今回目立ったのは、まずTシャツのラインナップの豊かさです。「SAKKA ZAKKA WORKS」の松尾モノさんを迎えたコラボレーション・Tシャツの販売から、いよりさきさんの不思議カワイイTシャツ。冠木佐和子さんのサイケデリックなTシャツ、奥田昌輝さんのシンプル・アンド・ひでぶ! なTシャツ。沼田友の狂気かカワイイか、黒猫×お好み焼きTシャツ――。

もうひとつの人気グッズは、ブローチでした。前述の谷口ちなみさんによる「少女ブローチ」をはじめ、春成つむぎさん、pecorapedさん、幸洋子さん、若井麻奈美さんもブローチを出展。様々なカラー・絵柄が揃い、いずれも人気を集めていました。

そして中内友紀恵さんの「Poker」ガチャポン、澤田裕太郎さんの「モサモサくんミニフィギュア」ガチャポンも高回転。またスズキハルカさんの可愛らしい卓上カレンダーは、壁にかけて展示もされており、終始来場者を楽しませていました。

そして、今回ぶっちぎりの一番人気となったのが、井上涼さんによる初のグッズ販売です。全6種類が用意された缶バッヂは、オープン1時間で200個を販売するロケット・スタートを記録! 2日目午後から在廊された井上涼さんは、会場の外で急遽グッズ購入者対象の即席サイン会を実施するなど、その圧倒的な人気ぶりや、井上さんのお客さまへの丁寧な対応に、出展作家からも感嘆の声が上がっていました。

隅々まで趣向が凝らされているのも、「ASZ」の魅力のひとつ。こちらは来場者に渡されていた入場券。全40種類が用意されていたそうです。

1日目夜、そして2日目に突入しても客足は途絶えることなく、途中、入場制限もかかった「ASZ」。2日目お昼頃には、運営の来場者カウント・シートも以上のような事態に……!

そして10月19日午後6時30分、2日間で過去開催の10日分に匹敵する動員を記録した「ANIME SAKKA ZAKKA 3」は、大盛況で幕を閉じたのでした。

「あにめ さっかも ざっかを つくりたい!」を合言葉にスタートした今企画。その本質は一切ブレることなく、さらに多くの作家・クリエイターたちを巻き込みながら、今回大きな飛躍を遂げました。ちなみに次回開催については「完全に未定」とのこと。過去を上回る大変精力的な活動をみせた「ANIME SAKKA ZAKKA」も、とりあえずはこれで一息をつく形となるようです。

名実共に若手アニメーション作家を代表するイベントの一つへと成長した「ANIME SAKKA ZAKKA」シリーズ。今後の展開は勿論のこと、出展作家の皆さんの今後にも、大期待です!


ANIME SAKKA ZAKKA 3

会期:2014年10月18日(土)・19日(日)
会場:3331 Arts Chiyoda, B105
出展作家:井上涼/いよりさき/奥田昌輝/冠木佐和子/スズキハルカ/澤田裕太郎/谷口ちなみ/中内友紀恵/沼田友/春成つむぎ/pecoraped/松尾モノ/幸洋子/若井麻奈美
ホームページ:http://animesakkazakka.web.fc2.com/


2014.11.08.16:15 一部記述を削除しました。