こんにちは。松浦直紀(まつうらなおき)と申します。
火づくりという短編アニメーションを企画中で、MotionGalleryさんで、制作支援金を募集するクラウドファンディングを開始させて頂きました。

tampen.jpさんの中では、連載コラムのコーナーを設けさせてもらうことになり、今回はその第一回となります。どうぞよろしくお願い致します。

このコラムでは、ぼくが普段、どんな風にアニメーション制作に関わっているのか、そして、『火づくりという作品の中で、どんな事を考え、どんな技術をつかって、画面を作っていこうとしているのか、という部分を中心にお話ししつつ、作品の紹介をし

毎回、コラムの中でテーマを設けて、それについてのアレコレを語ってみたいと思います。
今回はズバリ・・・「線」です。
アイコンにも使っている、主人公のこの絵を参考にお話しします。

ぼくは普段、アニメプロダクションの中で行われている「セルアニメーション」が中心のアニメーション制作の現場に関わっています。作品によって様々な例外はありますが、基本的に、描線は全てデジタルデータ上で「二値化」されます。グラデーションが存在しない、白と黒の情報だけの線です。

見比べられるように、比較画像を作ってみました。

Cが、スキャナーでスキャンしたそのままの状態で、ぼくは、Cから、D→Eという手順で今回の絵を作っています。
対してアニメプロダクションが主に採用しているのは、Cから、B→Aというようなワークフローです。
「仕上げさん」と呼ばれるペイントセクションの方々の作業効率を上げて、エフェクトや撮影時に調整がしやすいというメリットがある反面、構築できる「絵柄」には、やはり一定の「幅」が生まれます。
個人や少人数で制作する作品であれば、作業効率を最優先にしなくても良い、という考え方を採用でき、同時に、絵柄への自由度が生まれるので、今回は「E」のような方向性の絵で作品を作っていきます。

ぼくがこの絵柄を採用し始めたのは大学生の時ですが、敢えて、手で描いた「筆跡」がある方が、自分の好みでしたし、当時作っていた作品の世界観に合っていると思ったんです。二階調化して、RBGが(255:255:255)の白部分に色を塗っていった方がデータの管理もしやすいのですが、そこも敢えて、スキャンした「紙のザラザラ」を残して、色を塗っています。フォトリアルに絵を作っていく作品ではないので、「紙に描かれた絵」という「気配」みたいなモノは、残しておいてもいいのかな、と思っています。

今回はこんなところで!

写真の端っこにいるのは、今回の作品のマスコットキャラクターの「アメノさん」です!本編には登場しませんが、SNSや、この連載コラムの中で登場し、作品のナビゲーターとなっていく予定です。アメノさんのtumblrはコチラ:
「アメノさんのふかふか日記」
http://amenosandiary.tumblr.com


『火づくり』とはーーー

 他界した父の遺品から、一本の壊れた鋏を見つけた少年。母によると、父は以前造園の仕事に携わっていたという。そして、その鋏は、異国に住む「佐助」という鋏鍛冶の手によるものであることが分かる。鋏を直してもらうため、少年は「佐助」に会いに行くーーー

 松浦直紀が監督として企画・制作中のオリジナル短編アニメーション作品『火づくりは、大阪堺市に実在する鋏鍛冶職人「佐助」をモデルにした、架空の世界の物語です。松浦自身が佐助の鋏の切れ味や美しさに感動し、「こういう職人さんの姿を描いてみたい」と思った事がきっかけで、本企画の構想が始まりました。

 伝統工芸の世界を通じて、「モノを大切に使い続けることの素晴らしさ」を伝えたい。それが、松浦が本作に込めるテーマです。


オリジナル短編アニメーション『火づくり』は、
クラウドファンディングサイトMotionGalleryで制作支援を募集しています!
https://motion-gallery.net/projects/hizukuri