自己紹介

初めまして。大川原亮(おおかわらりょう)と申します。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻を修了しました。現在はアニメーションを生業として、CMのアニメーションを作ったり、MVを作ったり、イラストレーションやキャラクターデザインとか、そういった事でお金をもらって暮らしています。

『もう泣く牛』第一回
<半壊の老婆>

2014年2月8日、関東は大雪。実に16年ぶりの積雪量になりましたね。
横浜でおおよそ27年暮らしてきて、人生で二回目の大雪でした。
16年前の僕は小学5年生で、目が覚めるや否や外に飛び出して、雪だるまや大型の滑り台なんかを作って大はしゃぎだったのを思い出しました。
現在の僕は大人ですから、テンションが上がって外に飛び出して雪遊びをしました。
雪って冷たくて、指先が凍傷とかになりそうでしたが、口の中に手を突っ込んで、舐めて暖めながら、一生懸命に立体物を作ったんです。20~30分くらいかけて「体育座りの老婆」というタイトルの雪の彫刻が完成しました。大変満足して、その日は鍋を食べて寝ました。
翌日の昼に「体育座りの老婆」を見に行くと、太陽に照らされて半壊状態でした。
・・・なんて儚いんだろう。
しかし、僕はその「半壊の老婆」が自分にとって興味深いものだと気がつきました。

ここからアニメーションの話。

アニメーションは時間表現です。「Aの地点からBの地点を描く事」が時間表現の基本だとすると、Aは「老婆の完成」Bは「水」になります。
つまり「半壊の老婆」はAとBの中間、溶ける最中。「もう泣く牛」なんです。
アニメーションにはメタモルフォーゼ(変態)という言葉がありますが、
この老婆は、今まさにメタモルフォーゼの最中なんですね。

というわけで僕は「半壊の老婆」という存在が、どの様な有様でB地点まで行くのか、注意深く観察してみる事にしたのでした。

今月のイラスト
<モンテ・カルロの濡れ犬>

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