『もう泣く牛』第二回
<自己診断>

先日東京では、午前中の春の陽気から打って変わって雪が降りました。
その雪はすぐに雨に変わったんですが、
お天気の気まぐれに騙されて、
多くの人が傘を持っていなかったんではないでしょうか。

僕もその中の一人で、少し濡れながらコンビニへ向かっていました。
赤信号で止まっていると、道路を挟んで向こう側の女性が
黄緑色のジャンプ式の傘を開きました。
音は雑踏に打ち消されこちら側まで届いてきません。

そんなよくある情景を眺めながら
僕は心の中で「3コマ...。」とつぶやきました。
傘が開く動きをアニメーションに起した時の枚数を
無意識で計測していたのです。

「これはいよいよ患っているなぁ」と自己診断を下した瞬間でした。

テレビコマーシャルでアニメーションの物を見れば
デジタルでの作画かアナログでの作画か、ブラシの種類は?
画材は?何コマのループかな?
という具合に、技術的な部分に着目してしまい
「あれ、結局なんのコマーシャルだったんだっけ?」と
妙なモヤを残してしまったりします。
しかも、多くの人にとって関心のない部分だったりするんで
これからはあまり、専門的な事ばかり考えない様に
気を抜いて暮らす訓練をして行こうと思っています。

では8コマでリュックを背負って、11コマで靴を履いて(4コマは右爪先トントン)
18枚ループで歩いて、仕事に出掛けようと思います。

今月のイラスト
<パンパン踊る魚>

※よかったらiPhone等の壁紙にどうぞ。