『もう泣く牛』第四回
<時速360km>
またバイク便の話をしてもいいですか。
前回バイク便で西国分寺から赤坂まで、30kmの距離を1時間半かけて
荷物を運んで貰った話を書いたんですが、よくよく考えると、これって時間が
掛かり過ぎている気がするんです。30kmを1時間半。
「まっすぐに来ました!」と言われても
眉に唾をぬりぬりする他ありません。
このバイク便の速度を計算したら、時速20kmでした。
ウサイン・ボルトなんて時速37.9kmで走りますよ。
それだったらバイク便に頼まないで、
ボルトに頼んだ方がいいじゃん。
とはいえ、バイク便にも色々手続きがある訳ですから、
そんな単純な距離計算だけでは計測出来ませんよね。
でも純粋に30kmをバイクや車で移動したら、どのくらい掛かるもんだろう?
そこで簡単googleルート検索。ワンクリックで答えが出ました。
40分。
じゃあ手続きや信号、雨の事も考慮して
妥当な所要時間だったんだ。と腹の虫を納めるに至りました。
一方、firestrageにデータをアップロードして
それを受手がダウンロードするまで大体5分程度あれば充分ですよね。
この場合のfirestrageの速度は、時速360kmという事になります。
時速360kmっていったい・・・・。
全然ピンと来ないので、それがどの位のものなのか調べてみると
「人間を安楽死させる為のジェットコースター」というワードに
たどり着きました。
人間を安楽死させる為のジェットコースターを考案した芸術家が
確実にDieする為に必要な速度として設定したのが、時速360kmでした。
宙返りするように引かれたレールを滑走する際
10G程の重力がかかり、血流が止まり気を失うか、視覚の喪失が起こるそうです。
そして次の瞬間に脳が窒息→死亡。コワスギ!!
どうやら人間が生身の状態でfirestrage程の速度で移動する事は
そうそう容易な事ではないようです。
firestrageには、西国分寺から赤坂まで、人が安らかに眠れちゃう程の
スピードで走り抜けるダイナミズムがあるんですね。
(この例はあくまでも西国分寺~赤坂間の話であって
距離が違えば速度も変わります。)
さて、なぜこんな話をしているかというと。
人間が望む利便性が『速度の美』と深く関わっている様に思うからです。
「あ、なんだか未来的だ。」と感じるこのスピード感は
その時代ごとに、形を変えながら轟音を立てて、或は音も立てずに
走り抜けていくものなのかもしれません。
自分の中で要らない盛り上がりがあって全然話が進みませんでした。
次回はもう少し話を進めます。
今月のイラスト
<速度と機械への偏愛>
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