A-AIRの成果発表会が3月14日(金)、東京の青山学院アスタジオで開催されます!


A-AIRとは、「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京」の略称で、文化庁が主体となって海外の若手アニメーション作家を東京に招き、その滞在中に、研修・ワークショップ、創作等行ってもらうプロジェクトです。

そんなA-AIRの成果発表会ですが、海外で活躍なさっている「生きのいい」若手作家の方々のお姿を生で拝見する機会でもあります。
昨年は文化庁メディア芸術祭で新人賞を受賞なさっていたエマ・ドゥ・スワーフさん(『オー、ウィリー』)がいらっしゃっていました。

他にも、
エッリ・ヴオリネン『Sock Skewer Street 8』
ケイレブ・ウッド『Bird Shit/バードシット』
チェン・シーの『Grain Coupon(穀物配給切符)』
ジョゼフ・ピアス『The Pub / パブ』
クリストフ・ゴートリー『vertige/目眩』
などなど、映画祭にバンバンかかっている作品を生み出してきた実績があり、注目すべきプロジェクトと言えるでしょう。

今年はスイス、イスラエル、ポーランドから3名の作家さんが参加なさっているので、14日の成果発表会でも、今後の映画祭シーンを形成する作品群の片鱗が伺えるはず。

今回、成果発表会直前のこのタイミングで、彼らにインタビューしてまいりました
インタビューに答えて頂いたのは、ミヒャエル・フライさんとオフラ・コブリネルさんのお二人。日本滞在中のことや、作品制作の話を伺いました。


ミヒャエル・フライ Michael FREI (男性/スイス/26歳)

『Not About Us』(2012)が、チェコのアニフェスト国際アニメーション映画祭で学生映画部門特別賞を受賞。
『PLUG & PLAY』(2013)は、韓国のプチョン国際学生映画祭(PISAF)で審査員特別賞ほか、受賞多数。

オフラ・コブリネル Ofra KOBLINER (女性/イスラエル/30歳)

『In a Clear Mind』(2010)が、ASIFAイスラエルの「国際アニメーション・デー 2010」で最優秀学生映画賞を受賞。世界中で上映されている。


Q:早速ですが、どのようなことを期待して来日したのでしょうか?

ミヒャエル・フライ(以下 M):東京には去年の夏、映画祭に参加した時に来たんだ。その時は五日間の短い滞在だったんだけれど、自分が住んでいる場所とは全く違って、エキサイティングな街だと感じた。同時に、自分の新作を作る必要性もあったから、色々なものを見て何かを感じたいと思って、東京に来たんだ。

オフラ・コブリネル(以下 O):日本に居た友人から東京の話は聞いてたんだけど、日本のことはほとんど知らなかったの。
ただ偶然、このプログラム知って、とにかく来てみた、という感じかな。

Q:滞在中はどんな場所に行きましたか?

O:京都や神戸にはプログラムの中で行くことがあった。個人的には奈良にも行ったよ。
東京だと原宿や、築地市場かな。

M:スタジオ4℃やIKIF+にも行ったし、ヤマムラスタジオも見学したよ。

O:あとROBOTもね!

Q:印象深かったことなどはありましたか?

M:日本人の習慣が1番面白かったかな。みんな他人にあまり話しかけたりせず、衝突を避けて孤独に生きていると思う。文化としてとてもカオスなのに、整理整頓が行き届いている感じとかも。

O:文化的なコードの違いはあるね。ある(英語の)単語は普通に通じるのに、別の単語は全然通じなかったり。そういうところに謎の感覚があった。

Q:お二人が短編アニメーション制作を始めたきっかけはどこにあったのでしょうか?何か作り始める前に影響を受けていたものはありましたか?

M:子供のころはアニメーションといえばディズニーっていうくらい何も知らなかった。建築関係の仕事を4年間くらいしていたんだけど、その仕事がとても退屈で、仕事の合間に気まぐれでグラフィックをいじったり、音楽を作ったりしていたんだ。アニメーションを作ったのも偶然で、当時は他の作品はもちろん、作品の作り方も何も知らなかったよ

O:私もディズニーくらいしか知らない時期がありました。今でもディズニーは大好きだけどね。
大学では建築を勉強してたんだけど、当時の先生に勧められて、アニメーションを勉強する学科に移りました。
移った先の学科では、インディペンデントの作家達の作品などを見て影響を受けましたね。あとはVimeoで色々な作家をフォローしたりしています。

Q:東京滞在は、制作に影響しましたか?また、成果発表会で上映される作品の見どころなどをお願いします。

M:影響は間違いなくあるね。東京と私が住んでいる場所は全然違うものだし。
私の作品は、人間みたいだけど頭がプラグになってる生き物についての作品だよ。デジタル的思考がテーマで、タッチパッドを使ってデジタルに作画しています。作画に指を使ったのは、ラテン語の「指」がデジタルの語源になっているからなんだよ。


ミヒャエル・フライ『PLUG & PLAY』(2013)

O:私の場合、使う画材だったり、主人公が日本人の女性だったりする所かな。あと、建築物やファッションなど、普段自分が接しているものとは美的感覚の違いがあるから、もっと抽象的な次元でも影響があると思う。
私の作品では、都市生活になかなか慣れることができない女性が主人公です。彼女は想像の中で都市を泳ぐんだけど、最終的に子供に捕まってしまうんです。


オフラ・コブリネル『In a Clear Mind』(2010)


インタビューにお応えくださった二人が、東京で感じた違和感。その違和感がどのような形で作品に表れるのか、楽しみに待ちたいところです。

まずは14日、青山アスタジオで、その制作過程を目撃してはいかがでしょうか。


アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2014 成果発表会
公式ページ

日時: 2014年3月14日(金曜日) 17:00-19:15 
会場: 青山学院アスタジオ(東京都渋谷区)
MAP: http://aogaku-astudio.com/wordpress/access/
入場無料


■プログラム

①イントロダクション

②作品上映

『プラグ&プレイ PLUG & PLAY』(ミヒャエル・フライ、6分、2013)
『イン・クリア・マインド In a Clear Mind』(オフラ・コブリネル,4分、2010)
『ツィーゲノルト Ziegenort』(トマーシュ・ポパクル、19分、2013)

③招へいアニメーション作家と指導監督者による成果発表および総評

A-AIR2014指導監督者
木船園子 (東京工芸大学芸術学部アニメーション学科教授)
野村辰寿 (多摩美術大学グラフィックデザイン学科准教授)
古川タク (アニメーション作家、イラストレーター)(イベント終了後、交流会を予定しています。)

登壇作家

ミヒャエル・フライ Michael FREI (男性/スイス/26歳)

1987年生まれ。2008年から2012年にかけて、ルツェルン応用科学大学でアニメーションと美術を学ぶ。2010年にはタリンのエストニア芸術アカデミーで1年間の交換プログラムに参加。『Not About Us』(2012)が、チェコのアニフェスト国際アニメーション映画祭で学生映画部門特別賞を受賞。最新作の『PLUG & PLAY』(2013)が、韓国のプチョン国際学生映画祭(PISAF)で審査員特別賞ほか、受賞多数。

オフラ・コブリネル Ofra KOBLINER (女性/イスラエル/30歳)

1983年生まれ。イラストレーターとして活動しながら、伝統的なアニメーション、After Effectsやフラッシュを用いたアニメーションを制作。エルサレムのベツァルエル美術デザイン学院で、2005年から建築を1年学んだ後、2006年から2010年にかけて映像アート学部アニメーション・プログラムにて美術学士号取得。卒業制作の『In a Clear Mind』(2010)が、ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)イスラエルの「国際アニメーション・デー 2010」で最優秀学生映画賞を受賞し、世界中で上映されている。

トマーシュ・ポパクル Tomasz POPAKUL (男性/ポーランド/27歳)

1986年生まれ。初監督作品『Frustratu:Herzleid』(2004)と『Life 1.0』(2006)はシュチェチンの美術学校時代に制作し、その後2007年より、ウッジ映画大学でアニメーションを学んだ。2011年には同校で脚本も履修し、平行して研究を進めた。卒業制作である『Ziegenort』(2013)が、ドイツのオーバーハウゼン国際短編映画祭で優秀賞、スイスのファントーシュ国際アニメーション映画祭でニュータレント賞ほか、受賞多数。