2014年7月にart space kimura ASK?で開催されたASK?映像祭2014
10周年を迎えた記念すべき今年は、さとうちひろさんの短編アニメーション『さとうのちひろ』がコンペティション部門の大賞を受賞しました。


写真:ASK?映像祭2014トロフィーと表彰状を手にする、さとうちひろ監督

さとうちひろさんが作った『さとうのちひろ』?何だか気になりますね。
今回は、大賞受賞作品『さとうのちひろ』について、監督であるさとうちひろさんにインタビューして来ました!

まずは、『さとうのちひろ』予告編をご覧ください!

―― 大賞受賞おめでとうございます!受賞した『さとうのちひろは、どのような作品ですか?

さとう: ありがとうございます!『さとうのちひろは漫画のようなコマ割りされた画面の中で、短いいくつかのお話を展開するアニメーション作品です。

―― コマ割りされているので動く場所が予測できず、何度か観ないと全体を把握できないんですが、その何度も楽しめるところがステキですね。どうして「コマ割り」にしようと思ったんですか?

さとう: 最初は、コマ割りでやろうとは考えていませんでした。どんな作品にしようかとイメージボードを作る時に、一つのイメージを紙いっぱいに描くのは労力がいるし私の一つ一つのイメージはとても些細なものだったので紙いっぱいに描くほどのものではないなと思い、紙を適当なコマで割って、その一コマ一コマに自分のイメージを描きこむことにしました。そうすると紙1枚で作品のイメージが大体伝わるので、それをそのまま先生にお見せしたら「もうこれはこのまま動かしてみてもいいかもね」ということになり、このコマ割りスタイルでいくことになりました。


画像: 作品『さとうのちひろ』より

―― 『さとうのちひろという、ご自身の名前がタイトルになっているのがユニークでインパクトがありますよね。

さとう: やはり、自分の世界を押し出しているような作品なので、タイトルにも自分の名前をいれようかと思いさとうの○○、○○のちひろ等を色々書き出していって最終的には、シンプルに『さとうのちひろに落ち着きました。タイトルと名前を同時に覚えてもらえるので気に入っています。

―― この作品はどのような手法で作られたんですか?

さとう: 絵コンテは描かないので、イメージボードを元に動画を描くところから始めます。このときはお話の流れは決まってないので動画を描きながら次の動きを考えたりしています。クロッキー帳の風味が好きなのでクロッキー帳に作画したいのですがタップ穴が開いていないので、まずは動画用紙に作画して、それを切り取ったクロッキー帳の紙に角あわせで重ねてトレースしていきました。それをスキャンしてPhotoshopでコマ毎に切り抜いて、After Effectsで編集していくのですが、パソコン作業は苦手なので極力シンプルに事が進むように作画する事を心がけました。


画像:クロッキー帳に描かれた原画たち。トレース時、タップは使用しないそう。

―― 『さとうのちひろは2013年に発表された大学の卒業制作ですよね。現在はどのような活動をされているんですか?

さとう: 大学を卒業した後は、そのまま1年間研究生として大学に在籍し、研究作品として『さとうのちひろブラックを制作しました。現在は、ウサギ王株式会社に就職し3DCGアニメーターとして活動しています。

―― 今後の展開予定について教えてください。

さとう: 大賞の副賞として、来年のASK?映像祭にて個展をさせていただけるので、今はそれに向けて新作を制作しています。まだどんな作品になるかはわかりませんが新しいさとうちひろを出せたらいいなと思います。是非来年の個展に足を運んでくださいね!


画像: 作品『さとうのちひろ』より

最後に、さとうちひろさんに動画メッセージをいただきましたのでご覧ください!
新作『さとうのちひろブラック』のトレーラーも入っています。

個展や次回作、とても楽しみです!
さとうちひろさん、どうもありがとうございました!


ASK?映像祭2014
http://www2.kb2-unet.ocn.ne.jp/ask/2014/eizou2014.html

ASK?映像祭コンペティション部門2014受賞作品

大賞: 『さとうのちひろ』5分 2013 / さとうちひろ
久里洋二賞: 『犬の夢』6分 2012 / 李旭堃
西村智弘賞: 『コップの中の子牛』11分 2014 / 朱彦潼
ASK?賞: 『GYRO』6分 2014 / 円香

入選: 『Waiter』 9分 2013 / 山田遼志  『花芽』 6分 2014 / 中野咲
『肛門的重苦Ketsujiru Juke』 3分 2013 / 冠木佐和子
『さとうのちひろ ブラック』 6分 2014 / さとうちひろ
『おでかけ』 5分 2014 / 川上彩穂  『奇妙なフォーク』 3分 2014 / 川平美緒
『Ici, là et partout』 2分 2013 / 冠木佐和子  『デジタル』6分 2012 / 坂井治
『Trough The Windows』 3分 2014 / 佐藤美代  『mangekyou』 1分 2014 / 河野佑香