平成26年度海外メディア芸術クリエイター招へい事業「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」招へい者3名が決定しました。

昨年度に引き続き、一般社団法人ジャパン・イメージ・カウンシルが文化庁から受託して運営している「海外メディア芸術クリエイター招へい事業」は、メディア芸術の振興に向けた取り組みの充実を図るため、海外の優れたクリエイターを招へいし、メディア芸術における国際交流を推進するとともに、交流機会を通じた国内クリエイターの育成を促し、もって我が国のメディア芸術水準の向上と発展に資することを目的とした事業です。

本年度は平成26年7月1日から9月10日までの期間に、満20歳以上35歳以下の全世界のメディア芸術クリエイターを対象に募集し、61カ国から250件の応募がありました。予備審査会、第1次選定委員会、最終選定委員会を経て決定した招へい者は、平成27年1月7日から3月17日までの70日間、東京に滞在し、期間中、新作の制作を進めると同時に、研修会、上映会、あるいはスタジオやアニメーション作家のアトリエ見学、教育機関との交流など、さまざまなプログラムに参加する予定です。

以下が今回決定した招へい者です。(性別/国籍/年齢)
※年齢は平成27年1月7日時点


アレックス・グリッグ Alex GRIGG (男性/オーストラリア/27歳)

1987年生まれ。2008年グリフィス大学クイーンズランド・カレッジ・オブ・アート卒業。オーストラリアとヨーロッパの様々なスタジオでアニメーターおよびデザイナーとしての経験を重ね、2013年にインディペンデント・アニメーション作家の共同組織「Late Night Work Club」に参加する。そこで制作した『Phantom Limb(幻肢)』が2014年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル ヤング・ディレクター賞、第15回(2014年)広島国際アニメーションフェスティバル国際審査員特別賞などを受賞。
作家ウェブサイト: http://www.alexgrigg.com/

作品歴:2013年『Phantom Limb(ファントム・リム/幻肢)』(上画像)
2014年『Tower Block(タワー・ブロック)』

滞在制作の企画概要
『In My Bones(イン・マイ・ボーンズ/私の骨の中)』:骨と肉の関係を描く。骨と肉は日中、一人の人間として普通に過ごすが、夜になると骨は肉を離れ、生まれながらのパートナーから鞍替えする方法を探して、あてもなく街をぶらつく。従来の手描きとデジタルによる手法を組み合わせて制作する予定。


アンナ・ブダノヴァ Anna BUDANOVA (女性/ロシア/26歳)

1988年生まれ。2011年ウラル州立大学美術・建築アカデミー卒業。在学中より美術あるいはアニメーターとして様々な映画の製作に携わる。デビュー作の『The Wound(ザ・ウーンド/傷)』が2013年アヌシー国際アニメーション映画祭審査員特別賞、第15回(2014年)広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞、第18回(2014年度)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞など多数受賞。

作品歴:2013年『The Wound(ザ・ウーンド/傷)』(上画像)

滞在制作の企画概要
人々が海岸で伝説の怪物に出会うが、それは溺れた人々の魂が姿を変えたものだったという、スカンジナビア海岸地帯の古い伝説を元にした作品を制作。手描きの2Dアニメーションの予定。


ナタリア・チェルヌショーヴァ Natalia CHERNYSHEVA女性/ロシア/30歳)

1984年生まれ。ウラル州立大学美術・建築アカデミーでグラフィックとアニメーションを学ぶ。幾つかのアニメーション映画にアニメーター等で関わり、デビュー作の『Snowflake(スノー・フレーク/雪のかけら)』が2013年ソフィア国際アニメーション映画祭グランプリ、2013年シカゴ国際児童映画祭新進作家賞など、さまざまな国際映画祭で評価される。2012年よりフランスのラ・プードリエールで学び、卒業制作として『Friends(フレンズ/友達)』(2014)を制作。

作家ウェブサイト: http://cher-nata.blogspot.fr

作品歴:2012年『Snowflake(スノー・フレーク/雪のかけら)』/2013年『The Return(ザ・リターン/再会)』/2014年『Friends(フレンズ/友達)』(写真)

滞在制作の企画概要
『Lace-Maker(レース・メーカー/レース編み)』:ある家に住みついた小さなクモはハエを捕るだけの毎日を送っていたが、ある時老婦人が作るレース編みの魅力的な世界に心を奪われてしまい、クモの世界観が一変する物語。日本の書道と版画の技術を採り入れ、手描きの2Dアニメーションを制作する。


昨年度の招へい者であるミヒャエル・フライさん、オフラ・コブリネルさんのインタビュー記事はこちら
来日中の気鋭作家に緊急インタビュー!【A-AIR2014 in東京】

本事業招へい者はこれまでも滞在を経て世界中で活躍しています。今年度の招へい者3名もすでに国際映画祭でお馴染みの作品制作者であり、「この作家さんが来るのか!」と思った方も多いでしょう。どのような成果があがってくるのか、とても楽しみです。


JAPIC:平成26年度海外メディア芸術クリエイター招へい事業 「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」 招へい者3名決定のお知らせ
http://japic.jp/?p=1573


関連記事:

来日中の気鋭作家に緊急インタビュー!【A-AIR2014 in東京】

久保雄太郎のカナダ研修滞在記1

大川原亮のアメリカ視察記"KAKEHASHI Project -The Bridge for Tomorrow-"