5ヶ月ぶりの更新です。
人形アニメと映像全般のクリエイティブ澤田裕太郎です。
ご無沙汰しております。
まずはこちらをご覧ください。
2015年9月12日(土)から24日(木)まで開催中の「第37回ぴあフィルムフェスティバル」の予告動画を、モサモサくんを起用して制作しました。今回のコラムではこの予告動画が出来上がるまでを紹介していきます。最後まで付き合ってください。
【 作ることになった経緯 】
僕がちょうど寝ているときに岡本将徳くんから電話がかかってきまして、今回の動画制作を紹介されました。寝ていたところを起こされたことに加え、他にも仕事がいくつかあったこともあり、若干不機嫌な態度で「先方と話すけど断るかもしれないよ、断る可能性高いかもしれないよ」と答えました。この後、CALF( http://calf.jp/ )プロデューサーの廣瀬さんとメールでお話して、受けるかどうか考えた結果、最近人形アニメを作ってないからこの機会に作ろうと思い、受けました。岡本くんには映像が完成してから「やっぱ受けた」と連絡しました。
【 制作スタッフの顔合わせ 】
まずCALF廣瀬さんと、予告動画の総監督である吉野耕平さんと顔合わせをします。ぴあフィルムフェスティバルの方々と打ち合わせをする前に、大体の方針を決めるところから始めます。モサモサくんの人形を持参して「こういうのが映画祭の準備をしているような予告動画にしてみたいです」と提案し、あぁそれ良いんじゃないという流れです。実はこの時点では新しい人形を制作する予定でした。写真は打ち合わせ場所で吉野監督が撮影したもの。
【 PFF運営の皆さんと打ち合わせ 】
そして人形と絵コンテ(ここではまだ未完成の状態)を持参してぴあ株式会社( http://corporate.pia.jp/ )へ。こちらのイメージを伝えて、映画祭側から見て何か問題はないか、要望などはないかを聞き出します。打ち合わせ時に走り書きした、解読困難なメモはこちらです。
(わかりづらいですが)メモにもあるように、PFFのイメージカラーである青を基調とした人形を作る予定でした。しかしスケジュール的に新規の人形を作ると本当にギリギリの制作になってしまうこと、そして全身青のキャラクターだと絵的にどうなんだろうという指摘を受け、いつものモサモサくんを起用することが決まります。
【 絵コンテ全貌 】
全体の流れを掴むため、絵コンテを描きます。僕はあまり絵コンテをしっかり描かずにやってきたことが多々あるのですが、本当に良くないことだと思います。後で事故ります。そういうわけで最近は絵コンテの段階でキッチリ決めるようにしてます。そう言いつつ尺指定とか書いていませんが。
C03の「パソコンモニターに映るコンペ入選監督」について欠番になりました。モニターよりもスクリーンに投影したほうがかっこいいからです。
C09の「チケットを手売りしているモサモサくん」ですが、これはプレビューの段階で「なんだかダフ屋っぽい」ということで撮り直しになりました。
【 セット、小道具の制作 】
人形アニメですので、人形の尺に合わせたセットや小道具も用意しなければなりません。既存の製品でどうにかする手もありますが、今回は概ね自前でどうにかします。制作期間も短いため、加工しやすい材料で進めていきました。
土台になる床と壁は一畳分のスタイロフォームを使用。絵コンテを見ながら、レイアウトが合うかどうかも確認しておきます。そして水性塗料で着色。
小道具の前に、今回はモサモサくんの目線が動くことになっているため、目玉部分のみ改良しています。以前は磁石でくっ付いていたため、目玉を動かすことはできませんでした。ついでに黒目部分も少し大きめにしました。
そして、今回登場する紙系小道具全般はPFF運営の皆様がご制作くださりました。圧倒的感謝。このおかげで、こちらの作業にも若干余裕ができました。
自前で用意した小道具について。まずは、段ボールで作った謎の一体型パソコンとキーボードです。全体にジェッソを塗っているので、カチカチになっています。
天板が厚すぎるテーブルは、天板が発泡スチロールです。脚は硬質発砲スチロール。これもジェッソで下処理しています。
そして、最も作るのに時間がかかった映写機っぽい機器。
土台は木(種類はわかりません)、本体部分は硬質発砲スチロール、フィルムリール(っぽい何か)は木、回転する軸部分はアソブロック( http://www.asoblock.jp/ )、あとはプラモデルのパーツ類を使用しています。
裏側は映らないので、色々バレています。
【 撮影 】
本来なら撮影中の様子も随時写真に収めていくのですが…今回一気に撮影したため、メイキング写真のようなものがありません。唯一撮影したものは、終盤の劇場扉のみです
【 編集 】
画像を並べてアニメーションにしつつ、バレ消しや合成処理などをコツコツ進めていきます。下の画像は歩行するカットの際に人形を支えていたアーム。こういうのが結構あるので、消していくわけです。
そして最初に提出したプレビューがこちらです。
実際の予告動画と雰囲気が異なる点にお気づきかと思います。この後、全体のカラコレ(色調補正)を吉野監督にお願いし、重厚な雰囲気にしてもらいました。他にもフォント選び、文字組みについてもお願いしています。圧倒的感謝。
【 納品 】
幾度のチェックを経て、納品。舞います。
納品の舞 pic.twitter.com/w2vP08AeLI
— 澤田裕太郎 (@sawadazu) 2015, 8月 19
終わりです。
「第37回ぴあフィルムフェスティバル」
は9月12日(土)からから24日(木)まで開催中です。僕も観に行きます。皆さんもどうぞ。
第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)
http://pff.jp/37th/