文化庁の新進芸術家海外研修制度を活用し2014年9月からカナダのバンクーバーにて研修滞在中のアニメーション作家 久保雄太郎さんのカナダ滞在記連載2回目です!
前回のレポートはこちら: 
久保雄太郎のカナダ研修滞在記1


こんにちは。アニメーション作家の久保雄太郎です。カナダ滞在も残すところ丁度半分くらいでしょうか。早いものです。それでは、最近の出来事をなどを書かせていただきます。

先日エミリーカー美術大学で自身について90分間のプレゼンテーションをさせていただきました。

と言っても最初に軽く挨拶をしたあとは、日本人の学生の方に通訳をお願いしたので、実質話していたのは、45分くらいでしょうか。
写真は通訳をしていただいた果歩さんと。

大学院生時にも企画のプレゼンテーションをする事はありましたが、おおよそ10分程度のもので、このような形でのプレゼンテーションした事はなかったので、実に緊張しました。内容は、アニメーションを始めたきっかけから、大学、大学院とアニメーションを学んだ流れと作品の事を順を追って話をさせていただきました。
授業とは異なり、強制参加ではかったため、学生が全く来てくれなかったらどうしようかとビクビクしていましたが、当日多くの学生が来てくれたので、安心しました。

機材のトラブルなどもなく、進行することができたのですが、整理していたはずの写真が見つからず、途中一人であたふたしていました。 それほど年も変わらず、経験、実績、共にまだまだ半人前の僕の話でしたが、それでも学生の方々は真剣に話を聞いていただけました。色々と大変勉強になりました。

プレゼンテーション後に質問もいただき、音の事や、どういった作品を見てきたか、などの話をさせていただきました。写真はプレゼンテーション後に、僕が持って来ていた原画を見ている様子。

その後、学生の一人に案内され、モーションキャプチャーが出来るというスタジオへ。大学内なのですが、使っていたのは学生ではなくどこか別の作家かスタジオの方のようでした。案内してくれた学生はそこでアルバイトをしているということで見学することができました。

普段作品を作る時は、編集以外はアナログ作業でエフェクトをかけることもほとんどないので、自分が映像を作る行程とは全く違うものでしたが、とても面白かったです。演者が動くと同時に目の前のスクリーンのキャラクターも動くので、描くのと比べると一見簡単そうにも見えましたが、OKが出るまで何度も繰り返していたので、これもまた大変そうでした。楽な方法はないものですね。

で、終わった後は夜に、通訳をしてくださった果歩さん達と一緒に牡蠣を食べに。
良い一日になりました。

バンクーバーは雨の日がとても多いのですが、晴れの日にバンクーバーのアニメーションスタジオで働いている友人に公園に行って本を読んだり、絵を描いたり、作品のアイディアを出したりしようと誘われ、ライトハウスパークという海岸沿いにある公園へ行きました。

バスに乗り、40分くらい。

公園というより、森でしょうか。

ほぼ森なので光の入り方なんかも奇麗でした。

自然いっぱいの空気のおいしい素敵な場所です。
森を抜けるとどーんと海が広がっています。

灯台はこんな感じです。

友人曰く、今日は人が多いと言っていましたが、といっても見たのは20人くらいでしょうか。

岩場でお昼をとり、海っていいね~みたいな事を話した後は、各々で本を呼んだり、絵を描いたりして過ごしました。あまりに気持ちがいいので少しお昼寝したりしながら有意義な時間を過ごしました。

僕は普段机に向かって色々考える方なので、いつもより伸び伸びした心地で作品の事を考えることができました。アイディアを出す場所で作品の出来上がり方も大きく変わりそうな感覚を覚えました。 ただ、これだけ奇麗な風景が目の前にあると僕はどうしてもビールが飲みたくて仕方がなくなります。しかし、カナダは屋外での飲酒は禁じられているので実に残念。

ちなみに、新作の話を少し。新しい作品はノンナラティブです。イメージボードはこんな感じです。

完成はまだ先になりますが、よい作品に仕上がればと思います。

最近感じた世界は狭いな~という話。以前ドイツのシュトゥットガルト国際アニメーション映画祭に参加した時、審査員に和田淳さんがいらしていたのですが、審査で忙しく一人でいる時間が多く寂しい思いをしていました。その時スペインから学生部門にノミネートしていた作家と仲良くなりとても良くしてくれました。

金髪の彼。

その彼が僕がバンクーバーに行くという事でバンクーバーにいる彼の友人に連絡してくれ、彼もまたとても良くしてくれ、アニメーションを作っている周りの友達を紹介してくれたりするのですが、最近も友達を紹介され、お互い初めましてと挨拶したのですが、どこか見覚えがあるな~とおもっていて、たまたまシュトゥットガルトでの写真を見返していると、なんと一緒に写真をとっていました。この時は確か話したりはしてないですが、数年前にたまたま近くにいて写真に写っていた人が友達になるとは。世界は狭いものです。

一番右の彼。

作品を作ると、作品が色んな所へ行って多くの人の目に触れ、人と会わせてくれたり、連れて行ってくれたりします。モノを作るという事のとても素敵な一面だと思います。
学生の皆さんは卒業制作が完成して、作品を上映したり、もうすぐお披露目だったりすると思います。その後のオンラインでの発表もとても良い方法だと思いますが、コンテストや映画祭に出してみるのも良い手だと思います。とても楽しい事が待っているかもしれません。

ちょっとしっとりした感じでまとめられたので今回はこのへんで。読んでいただきありがとうございました。


文化庁・新進芸術家海外研修制度
http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/05kenshu/

Emily Carr University of Art + Design
http://www.ecuad.ca/http://www.ecuad.ca

久保雄太郎(vimeo)
https://vimeo.com/yutarokubo