TOP画像:「東京アニメアワードフェスティバル 2018」公式メインビジュアル


 「東京アニメアワードフェスティバル 2018」(以下TAFF)が、3月9日(金)~3月12日(月)まで池袋で開催される。「東京が、アニメのハブになる。」をスローガンに掲げるTAFFでは、テレビアニメから国内外の短編作品まで、多様なアニメーションがフックアップされる。tampen.jpでは、とりわけコンペティション短編部門にノミネートされた日本作品を紹介したい。

 まずは、浅野陽子監督作品『すみっこのこ』(2017年)。本作は第23回学生CGコンテスト・エンターテイメント部門の最優秀賞を受賞している。学校に馴染めない少女の世界を、ユーモアたっぷりにみずみずしい感性で綴った人形アニメーションだ。ちなみに本作は、浅野監督が東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻の一年次制作として発表した作品。奇しくもTAAFの翌週には、上野で同専攻の修了制作展が開催され、そこでは浅野監督の新作も上映される(関連記事:「横浜と上野で 東京藝術大学院映像研究科アニメーション専攻 第九期修了制作展 開催」)。あわせて要チェックだ。

浅野陽子『すみっこのこ』(2017年) 【上映情報】 新文芸坐 3月9日(金)9:45~11:30、3月10日(土)16:25~18:20

 次いで、北川惠監督・長井勝見監督作品『あの日まで』(2017年)。本作は、東日本大震災で被災した家族をモデルに、震災によって失われてしまったありふれた日常を、人形アニメーションで蘇らせる。2000年代以降、存在感を増しつつある「アニメーション・ドキュメンタリー」の文脈からも注目に値する作品といえよう。また、本作はNHKメディアテクノロジーによる8K撮影・編集技術の研究開発の一環として制作された。本作は世界初の8K人形アニメーションと考えられている。8Kの映像美によって蘇る「あの日まで」の日常を、その目に焼きつけてほしい。

北川惠/長井勝見『あの日まで』(2017年)【上映情報】 新文芸坐 3月9日(金)9:45~11:30、3月10日(土)16:25~18:20

 次いで、キューライス監督『鴨が好き』(2017年)。シュールなユーモアに彩られた世界観は、まさしく「キューライスじるし」。1年間以上の制作期間をかけたという力作をぜひスクリーンで確認してほしい。

キューライス『鴨が好き』(2017年) 【上映情報】 新文芸坐 3月9日(金)13:55~15:30、3月12日(月)12:25~14:15

 次いで、大谷たらふ監督『Serph - Feather (overdrive version)』(MV)(2016年)。本作は、ミュージシャン・Serph が、自身の楽曲『Feather』のミュージックビデオ(MV)を公募したコンテストで、グランプリに輝いたアニメーションだ。音楽とアニメーションが有機的に結びつきながら躍動する「抽象アニメーション」になっている。具象的なキャラクターが描かれていないにもかかわらず、生命感に満ち満ちたアニメーションにただただ圧倒される。この「生命を吹き込む魔法」をぜひスクリーンで体験してほしい

大谷たらふ監督『Serph - Feather (overdrive version)』(MV)(2016年) 【上映情報】 新文芸坐 3月9日(金)19:20~21:10、3月10日(土)12:10~13:45

 最後に紹介するのは、制作国はフランスだが、アメリカ人のマックス・ポーター監督と日本人のルー・クワハタ(桑畑かほる)監督の共同監督作品『ネガティブ・スペース』(2017年)。ロン・コージの詩を原作とした、父と息子のつながりを描いた情緒的な人形アニメーションだ。本作は第90回アカデミー賞・短編アニメーション部門にノミネートされた。惜しくも受賞こそならなかったものの、アカデミー賞・短編アニメーション部門に日本人作家がノミネートされるのは3年ぶりの快挙となる。貴重な国内上映の機会をぜひ逃さないでほしい。

マックス・ポーター/ルー・クワハタ『ネガティブ・スペース』(2017年) 【上映情報】 新文芸坐 3月9日(金)13:55~15:30、3月12日(月)12:25~14:15

 
短編作品との出会いは一期一会。一度逃すといつ再会できるのかわからない。そこで、短編作品にいままで馴染みがなかったひとも、この機会にぜひ短編アニメーションの世界に一歩足を踏み入れてみてはいかがだろうか。


イベント詳細

「東京アニメアワードフェスティバル 2018」
公式HPhttp://animefestival.jp/ja/post/8225/
日 程: 2018年3月9日(金)~12日(月)
会 場: 池袋シネマ・ロサ、池袋HUMAXシネマズ、シネマサンシャイン池袋、シネ・リーブル池袋、新文芸坐、区民ひろば南池袋、サンシャインシティ噴水広場、サンシャイン水族館、生活産業プラザ、としま産業振興プラザ、WACCA IKEBUKUROなど
主 催: 東京アニメアワードフェスティバル実行委員会、一般社団法人日本動画協会
共 催: 東京都

チケット購入方法など、その他の詳細は公式HP参照