「GEIDAI ANIMATION 09 oh! 東京藝術大学院映像研究科アニメーション専攻 第九期修了制作展」が、3月2日(金)から3月4日(日)まで横浜美術館で、3月21日(水・祝)から3月25日(日)まで東京藝術大学上野キャンパスで開催される。いずれも予約不要・入場料無料だ。第九期修了作品(全17作品)とあわせて、第十期生による一年次作品(全14作品)と、フランス国立高等装飾学校(ENSAD)2017年交換留学生作品(全1作品)、博士後期課程学生作品(全1作品)も上映される。会場ではメイキング映像やじっさいに制作で使用された素材の展示も実施される。

『GEIDAI ANIMATION 09 oh!』というタイトルは、創作の過程でみいだされる小さな驚き(=oh!)をあらわしているという。これまでも世界水準のアニメーションを輩出してきた同学だけに、作家の小さな驚き(=oh!)が結晶した作品たちは、観客に大きな驚き(=OH!)を与えてくれるだろう。

 また、修了制作展にあわせて開催されるトークイベントも要注目だ。まず3月4日(日)には、会場となる横浜美術館の主任学芸員である松永真太郎氏と、東京藝術大学映像研究科アニメーション専攻教授を務めるアニメーション作家・山村浩二氏のトークセッションが開催される。タイトルは「アートとアニメーションの境界線」。かつて個人作家がアニメーション作品を発表するフォーマットといえば短編映画だった。しかし21世紀に入り、技術的な制限が緩和されたこともあり、短編映画以外の存在感が日々増しつつある。そうした時代の流れを反映するように、東京藝術大学映像研究科アニメーション専攻では今年度からインスタレーション作品の提出が認められるようになった。じっさい一年次作品のラインナップにはインスタレーション作品も確認できる(斎藤光平『箱の中の天使』)。こうしたタイミングで開催される松永氏と山村氏のトークセッションは、あらためて「アニメーションとは何か」を問い直すようなものになるのではないだろうか。次いで3月24日(土)には、現在放送地中のテレビアニメ『ポプテピピック』で監督・シリーズ構成を務める青木純氏と、同作中で『恋して❤ポプテピピック』を担当したUchuPeople当真一茂氏と小野ハナ氏によるユニット)のトークセッションが開催される。タイトルは「商業アニメとアニメーション作家のこれから」。登壇者はいずれも東京藝術大学出身で短編作家としてキャリアを歩んできた。近年、山本蒼美氏(『メガネブ!』監督)や久保亜美香氏(『URAHARA』監督)など短編作家のテレビアニメ監督起用がにわかに活発になりつつある。他方、いまだに「アニメvsアートアニメーション」という二項対立構図を幻視する偏見が一掃されたとは言いがたい。そうした状況をテレビアニメ/短編映画を問わず活動する「アニメーション」作家たちはどのようにみるのか。日本の「アニメーション」のこれからを考える貴重なトークセッションとなるだろう。ただし、トークイベント入場には当日に無料配布される整理券が必要となる。あらかじめ注意されたい。

いずれのトークイベントもいままさにアニメーションに起こっている地殻変動を敏感にキャッチしようとする内容だ。それは東京藝術大学映像研究科アニメーション専攻が、アニメーションをめぐる環境の変化にたいして、つねにアンテナを張っている証左であろう。日本のアニメーション教育の最前線に学んだ次世代の作家たちが、作品をとおしてどのような“驚き”を提供してくれるのか、ひとりでも多くのかたにその目で確かめてほしい。


「GEIDAI ANIMATION 09 oh! 東京藝術大学院映像研究科アニメーション専攻 第九期修了制作展」
公式サイトhttps://www.geidai-animation-09.com/

2018年3月2日(金)~3月4日(日)
会場: 横浜美術館(レクチャーホール)
主催: 東京藝術大学映像研究科 横浜市文化観光局
共催: 横浜美術館
連携: フォト・ヨコハマ2018

2018年3月21日(水・祝)~3月25日(日)
会場:東京藝術大学上野キャンパス(美術学部中央棟 第一講義室)


【トークイベント情報】
「松永真太郎×山村浩二 アートとアニメーションの境界線」

日程: 3月4日(日)14:00~15:30
会場: 横浜美術館(アートギャラリー2)
※整理券は、当日10:00から配布

「青木純×UchuPeople 商業アニメとアニメーション作家のこれから」
日程: 3月24日(土)12:40~14:10
会場: 東京藝術大学上野キャンパス(美術学部中央棟 第一講義室)
※整理券は、当日9:30から配布


どれも入場無料。詳細は公式ホームページ参照。