2014年8月21日、第15回広島国際アニメーションフェスティバルが開幕しました! この日からすべてのプログラムの上映・展示、関連イベントなどが始まります。フェスティバルの概要、開幕までの様子はこちらの記事からどうぞ

今回の記事では、大会初日となる21日の模様をレポート! コンペティションに携わる審査員たちや、開会式の模様。そしてコンペティション上映ってどのような感じに行われるのか……? まで、出来るだけ細かくお伝えしていきますね。


初日にあたるこの日には、まず、国際名誉会長・国際審査委員からなる共同記者会見がプレス向けに開かれました。

一番左端にいらっしゃるのが、フェスティバル・ディレクターの木下小夜子さん。故・木下蓮三さんと共に、アジア唯一のASIFA(国際アニメーションフィルム協会)公認映画祭である当映画祭の運営・発展に尽力され、今は広島名誉市民でもあります。

今回のフェスティバルの「国際名誉会長」である、ブルーノ・ボツェット氏。アニメーション界の「生ける伝説」の一人であり、『ネオ・ファンタジア』の作者として世界的に知られています。また日本の、特に若い世代の方なら、FLASHアニメーション全盛期に誰もが笑い転げた『YES & NO』(交通ルール イエス・ノー)の作者と聞けば、ぎゃふん! と引っ繰り返る方も多いのではないでしょうか。

記者会見では、“コンペティション部門”からグランプリなどを選出する「国際審査委員」の紹介・コメント・そして質疑応答などが行われました。

日本からは、代表作『頭山』で日本人初となる米アカデミー賞短編アニメ部門ノミネートを果たし、NHKでオンエアされていた作品では『パクシ』などを手がけた山村浩二さんが参加。世界四大アニメーションフェスティバル全てでグランプリ経験を持つ、正に日本を代表するアニメーション作家です。“広島”でも、7回の入選と2回のグランプリ経験を持つ“常連”ですが、国際審査委員となるのは今回が初めてとなります。

最後は皆さんで、記念撮影が行われました。


さて、コンペティション部門以外にも、会場ではさまざまな特集プログラムが組まれています。今年は「30周年記念大会」と銘打たれていることもあり、特に過去の大会でのグランプリ作品をおさらいするプログラムや、歴代国際名誉会長の特集が多く目立ちました。

また、ノーマン・マクラレン生誕100周年記念特集や、ピクサーの最新短編作品『南の島のラブソング』のワールド・プレミアが行われたことも見逃せません。また恒例となる国別の特集では、ハンガリーが取り上げられ、実に23プログラムもの「ハンガリー特集」が組み込まれました。


そして、初日の17時30分から当フェスティバルの開会式が開かれました。

当初は広島市長の挨拶が予定されていましたが、大規模土砂災害の発生で急遽キャンセルに。メッセージが代読されました。

式中では、「特別に感謝したい人物がいる」という紹介と共に、ニコール・サロモンさんを木下小夜子さんと久里洋二さんが壇上で(花束と共に)出迎えるというサプライズも。

こちらは、ラッピー合唱団の皆さんによる大会ソング歌唱&ダンスのパフォーマンス!(ラッピーは、公式マスコットの名前です) バックのスクリーンでは、過去のプレイベントでのラッピー合唱団の活動の模様や、地元吉本芸人やロコドル(ローカルアイドル)グループ、そして映像製作団体、パフォーマーの協力により完成した大会PVも上映されていました。

フフッ、という微笑ましさですが、大会期間中は世界中から何十名もの作家・クリエイターが広島市に来訪します。御もてなしや広島観光への案内も、大事なフェスティバルの一部。広島市民と共にある「市民映画祭」であるという側面も、やはり見逃すことは出来ないのです。ちなみに僕の手前に座っていた方は、ラッピー合唱団の親御さんだったようで、満面の笑みで踊りきった合唱団たちに大きな拍手を送っていました。この後、終演後のロビーでは、合唱団たちとお母さんたちの談笑がそこかしこで見られたことも書き記しておきますね。


……さて! いよいよ本フェスティバルのメイン・プログラムである「コンペティション部門」がスタートします。過去最大となる74の国と地域から寄せられた2217作品から、選び出された59作品がこれから4日間に渡って上映されます。

まず、国際審査委員がアナウンスにより一人づつ紹介され、スポットライトと観客の拍手が送られます。

作品上映の前には、日本語と英語で、それぞれ作品番号、タイトル、作者、そして製作国が順に読み上げられます。また上映後は、作家が会場に来訪している場合、アナウンスにより紹介され、短く登壇して軽く会釈などをします。

一作品が上映されるごとに会場が薄明るくなり、また作品番号、タイトル……が読み上げられ、ライトが落とされ、上映が始まる――。その光景が、途中10分間の休憩を挟みながら、およそ2時間半にわたり続けられます。

一日の上映は、約15作品。エンドクレジットが流れると、国際審査委員の席からは、懐中電灯を頼りに審査用紙に記入している様子も見られます。ここはアニメーション作品の上映の場であると共に、正にグランプリが決定してゆく、緊迫した審査の場でもあるのです。

余談ですが、すぐ上の上映中の写真……もちろんコンペティション中に撮影されたものではありません。実はプレス用に、「上映している様子を記録する」ための時間が別に用意されているんですね。これは、その時に撮ったものです。多彩な報道関係者向けに、このような工夫も施されているのです。


コンペティション初日には、隣に会場を移動して、入選作家・関係者からなるクローズドの豪華オープニング・パーティーも開かれました。もちろん私も……潜入してきました!

提供されている食事もおいしかったのですが、一番早く無くなったフードが寿司だったのは、さすがでした。

パーティーでは、「学生優秀作品」プログラムに『The closet』が選出された米谷聡美さんにもお会いすることが出来ました。米谷さんは現在、東京藝術大学大学院に在学中。アヌシーのイベント等での作品上映はあったそうですが、このようなレセプションは初めてで、「緊張しています」とのこと。翌日のプログラム上映の際には、トークの場も設けられていたとのことでした。

さて、フェスティバル期間中のアステール・プラザでは、プログラム作品の上映だけでなく、実に多彩な企画が用意されています。次回はそのお話と、遂に決定した受賞作品についてお知らせ致しますね。

現地からは以上です!


第15回 広島国際アニメーションフェスティバル 公式ウェブサイト
http://hiroanim.org/

開催日:2014年8月21日~25日

会場:アステールプラザ
http://www.cf.city.hiroshima.jp/naka-cs/

期間中上映プログラム多数
詳しくは公式サイトをご確認ください。