毎年、東京藝大が主催する、海外からアニメーション関係者を講師として招き、アニメーションの<いま>を伝える公開講座「コンテンポラリーアニメーション入門」が、今年も横浜・馬車道で開催される。今年の講師陣は、セバスチャン・ローデンバック監督 7月8日(日)グザヴィエ・カワ=トポール7月15日(日)ボリス・ラベ監督 10月28日(日)だ。いずれもモデレーターを、山村浩二監督が務める。

ローデンバック監督は、アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門特別賞を受賞した長編デヴュー作『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』が、8月から日本公開を控えている。本講座は、映画の予習にもってこいといえるだろう。

ローデンバック監督は、空白や省略をもちいることによって、原画単体ではなにが描かれているかわからないが動画になったときに、ダイナミックな運動が立ち現れてくる「クリプトキノグラフィー」というユニークな手法で知られる。


「クリプトキノグラフィー」という手法には、動くことによってはじめて世界が屹立してくるアニメーションの深奥が、端的に現れているといえるのではないだろうか。「クリプトキノグラフィー」の発明者でもあるローデンバック監督が、アニメーションについてどのように語るのか要注目だ。

カワ=トポール氏は、フォントヴロー修道院での「アニメーション企画構想のためのレジデンス」のディレクターを務める人物だ。「アニメーション企画構想のためのレジデンス」はいままでに、世界30ヶ国から200人の作家を迎えている。現在、インディペンデント・アニメーションの重要な制作基盤となっているアーティスト・イン・レジデンスについて、詳しく知ることができる貴重な機会となるだろう。

ラベ監督は、オーセンティックな個人作家として、数々の実験的なアニメーションを制作している。映画祭での受賞歴も多数だ。最新作『転落』(2018年)は、世界四大アニメーション映画祭のなかでもとりわけ実験色が濃い、ザグレブ国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得している。本講座は日本でいちはやく目にするチャンスとなる。

アニメーションは近年さらなる多様性をみせるようになっているが、そのなかでも70年代NFB(カナダ国立映画制作庁)などのオーセンティックな個人作家の美学を色濃く継承しているのが、ラベ監督といえるのではないだろうか。そんなラベ監督が、アニメーションの<いま>をどのように語るのか大いに注目だ。


【イベント詳細】
コンテンポラリーアニメーション入門

第28回 アニメーションの潜在的可能性
講師: セバスチャン・ローデンバック
日程: 2018年7月8日(日)
時間: 15:30受付16:00開始18:30終了予定(途中休憩あり)

第29回 アーティストレジデンスの現在
講師: グザヴィエ・カワ=トポール
日程: 2018年7月15日(日)
時間: 15:30受付16:00開始18:30終了予定(途中休憩あり)

第30回 実験アニメーションの最前線
講師: ボリス・ラベ
日程: 2018年10月28日(日)
時間: 15:30受付16:00開始18:30終了予定(途中休憩あり)

会場: 東京藝術大学 横浜校地 馬車道校舎 〒231-0005 神奈川県横浜市中区本町四丁目44(みなとみらい線「馬車道駅」5・7番出口を出てすぐ)
定員: 90名(事前申込不要/先着順)
料金: 無料
主催: 東京藝術大学大学院映像研究科
共催: 横浜市文化観光局 
お問い合わせ: ca_info@geidai.ac.jp

上映作品など、その他の詳細については下記サイト参照。
http://animation.geidai.ac.jp/ca/