はじめましての方もそうでない方もこんにちは!

以前MV『砂漠の夜の夢http://tampen.jp/article/343>で取り上げていただきました中村綾花(ayaka nakamura)です。
今、Open WorkshopというデンマークのViborgにあるアーティストインレジデンスにてアニメーションを制作しております。2018年9月からスタートし、2019年の秋まで丸っと1年滞在予定です。
過去にこのAIR(アーティストインレジデンス)を経験した方の記事にとても助けられたので自分も何か伝えられたらと思い、書かせていただくことになりました。
まだまだ始まったばかりでどうなるか分かりませんが、お付き合いいただけましたら嬉しいです。

『FIRST SHOPPING TRIP ALONE』松井幸子監督インタビュー!デンマークでの豊かな制作

小谷野萌のアーティスト・イン・レジデンスinデンマーク/TAW Open Workshopレポート1

実はOpen Workshopに応募したのは昨年の11月。5月から滞在制作をスタートさせたかったのですが、審査結果の通知が遅くなったり、自分の展示の予定が入ったりと、なんやかんやあり、9月からのスタートになりました。 応募するために企画書を制作しはじめたのが昨年の8月なので、ほぼ1年越しのスタートです。

私は審査員の方から推薦をいただいて滞在することが決まったのですが、人によってはそのようなものは無かったというので、長期滞在(1年間)を希望したからかなぁ...?とぼんやりと思ってます。

来る前は「審査」や厳格な文面に慄いてましたが、来てみると皆おおらかでアバウトなので時によるのかもしれません。

写真:作業デスク

写真:Open Workshopの廊下。ここで制作されたものが貼ってある

他の方も書かれているのですがOpen Workshopについて少し紹介させてください。

このAIRはOpen Workshop(通称OW)と呼ばれていて、VIA Universityという大学 のアートコース The Animation Workshop (TAW)と同じ建物に制作場所が設けられています。

同じ敷地内に制作会社が入った建物もあるので、学生は卒業後のビジョンを描きやすいかもしれないなぁ...と思います。

学生に交えてイベントやプログラムにも参加できるので、絵を見せてもらったり、話したりとこちらもすごく刺激を受けます。

写真:自由参加のクロッキー会が週2で開かれている。モデルのポーズが毎回すごくアクティブで楽しい(最初誘われた時、クッキーと聞き間違えて食欲につられて参加したことは黙っておきたい)

プログラムに参加したり、イベントに参加したりなんだか大学のようだなぁ...とは思っていたのですが、AIRが大学の敷地内にあるのだということを、私は来て2週間目に気がつきました(遅い)。

学生のときはアトリエに居つかず、自宅作業をし、学内イベントはほぼ参加しなかった人間がここにいていいのだろうか、人は好きだが人が多いのはつらい!一人が好きだがぼっちは嫌だ...!! と、学生と他のレジデンス滞在者との距離感にあたふたしましたが、
「音楽ガンガンかけて作業するのが好きだから、制作場所じゃなくて住居先(Housing)で作業している」
「昼は人が多いから外でスケッチしているよ」
というレジデンス滞在者もいるので、自分が制作しやすいようにほどよく人と関わっていこうと思います。

さて、Open Workshopの話しを....

Open Worksopにはデンマークの人はもちろん、各国から人が集まり、それぞれのプロジェクトを進めます。そして希望する人には住居先(Housing)を提供していただけます。

写真:向かって左が住居。右が制作場所が入っている建物。中庭を挟んで100mくらいの距離。

Housingには12個部屋があり、単身はもちろん家族づれで滞在しているアーティストもいます。

そして、現在Open Workshopでは30人以上(!)のアーティストがプロジェクトを進めています。私はワーキングホリデービザを使用しているため1年滞在予定ですが、普通は最長6ヶ月。1週間だけの滞在者もいるので、既に出会いと別れをくりかえし、その度に嬉しくなったり寂しくなったりして対人関係で心がゆらゆらしています。(だから関わりたくないんだよ...! 別れるとき寂しいじゃないか! )と、自分に喋りつつ、新しい人を見るとつい笑顔で突進していってしまうのをどうにかしたいです。

写真:月一で任意参加の進捗発表会があります。 同じ建物に滞在していても会ったことがない人もいるので、お互いに知り合うのに良い機会です。このあとは皆でフリーランチ。

プロジェクトはアニメーションだけでなく、イラストやコミックなどなど...
そして興味深かったのは自分のポートフォリオを制作するためにOpen Workshopを利用できるというところ。
そして、近くのデスクの人は「独学で学んできたけれど もっとちゃんとアニメーションを学びたくて来た」と、作品を制作するのではなく、こつこつとアニメーションのモーションを勉強していました。
今までアーティストインレジデンスは「制作する場所」と思っていたのですが、それぞれのプロジェクトを進めて行く場所なのだなぁ...と。自分がやりたいことをサポートしてくれる良いところです。

写真:OWとHousingの間にある広場。Handstandsを教えてもらいました。「毎日ジャンプしていれば帰国する頃にはバク転ができるよ!」と教わったので、日々ジャンプしています。

写真:皆で夕飯をつくってごはん。

写真:デンマークでは秋になると子どもがKastanje(栗)を拾って作るのだと教えてもらったので、いそいそと作りました。キノコやリンゴ、栗が採れる場所を教えてもらったので最近はそれでご飯をつくっています。Thank you for nature!

デンマークの冬を知っている日本の方たちに「これからだんだん暗く寒い日がつづいてくるけど頑張ってね」と必ず言われるので乗り越えて生きたいです...


Open Workshopで制作中のアニメーション。ティザーを公開しております。
I Believe


イメージ画

制作過程などはこちらから
https://note.mu/ayaka_n


中村綾花(ayaka nakamura)

アニメーション / 木版画 / 絵
手描きをメインに、繊細かつ力強い画面づくりを目指し、アーティストのミュージックビデオやアートワーク、テレビ番組のアニメーション、装丁のイラストなどを手がける。映像作家100人2015(BNN出版)に掲載。木版画家・ペインターとしても国内外で活動している。

web
http://ayakanakamura.com

portfolio
http://ayakanakamura.com/ayakanakamura_portfolio.pdf